みやざきの歴史ロマン

あなたは神話をご存知ですか。ほとんどの人がよく知らないと答えるでしょう。かくいう私も知っているのは海幸彦、山幸彦がどうのこうのという程度です。これは太平洋戦後に神話がタブー視され、その出典ともいえる日本書紀や古事記の内容も歴史学者の間ではほとんど評価されていないようです。
でも、神話は本当に根も葉もない作り話なのでしょうか。私は全てが真実ではないにしても全てが嘘ではないと考えています。ドイツ人のシュリーマンがギリシャ神話を題材にしたホメロスの詩を信じて、だれもが作り話だと思っていたトロイの遺跡(トロイの木馬)を発見したことは有名な話です。ですから日本の神話も決してデタラメな話ではなくて、古代の出来事の断片を伝えているはずです。
宮崎はこの神話(日向神話)の舞台です。日本でこれに匹敵する神話は出雲神話ぐらいでしょう。天孫降臨から始まり、海幸山幸彦、豊玉姫や神武天皇までほぼ県内全域に神話の伝承や神話に由来する地名が残されています。さらに西都原古墳群などの史跡、平家伝説や百済王伝説など数々の伝説も残されています。その意味では宮崎は古代を中心とした歴史ロマンの宝庫であり、他県にはない貴重な資源なのです。
ずいぶん前に地域に住む人々が楽しみながら一体感をもてるのは何だろうと考えたことがあります。できの悪い頭をフル回転させながら県内各地をまわりたどり着いたのが「地域の歴史と文化」でした。でもそれは古文書や歴史書を紐解くような堅苦しいものではありません。地域に古くから伝わる祭り、神楽、民謡など代々受け継がれ親しまれているものであり、郷土料理もそのひとつでしょう。これらの資源をうまく活用できればそれぞれの地域が生き生きと輝いてくると感じたのです。
でも問題はそのほとんどが高齢化の進行と集落機能の低下により失われつつあり、中でも伝統芸能は全てを未来へ残すことが難しくなっていることです。例えば神楽にしても高千穂神楽、米良神楽、椎葉神楽・・・・さまざま伝承されてはいますが、それぞれは集落単位であるため県全体から見れば点にしかすぎず弱いのです。でも「神楽」で括ると宮崎県のほぼ全体が塗りつぶされた面となって広がりパワーが増してくる気がするのです。
そして地域の歴史文化をネットワークさせ面的な広がりの中で磨き上げ発信していければ、また地域の人たちが、特に若者や子どもたちが楽しみながら一体感を持って伝承してくれれば未来へ残せるはずです。
こう考えたとき、そのネットワークづくりの仕掛けになるのが神話や伝説などの「宮崎の歴史ロマン」だと思います。そしてその仕掛けに「地域の歴史文化」をちりばめていけば相互に魅力が増すことになるのではないでしょうか。
ただ、ここで気をつけたいのは「宮崎の歴史ロマン」は県民の貴重な財産ですし地域の誇りなのですから、大切に扱うべきであり、安易に観光の道具にするような考えは禁物です。
そして大事なのは変な色気を出さずに、まず自分たちで楽しむことです。そして自分たちがその素晴らしさを実感するだけで十分だと考えることです。それが本物の輝きであれば、無理をしなくても観光客や地域活性化は必ず付いてくると思います。
これからもそんな視点で宮崎の財産を一つでも二つでも見つけていければと思います。
